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山口久吉の話
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    湯西川温泉 湯殿山神社大祭礼と講中代参





                                 山 口 久 吉

 湯西川の信仰、湯殿山講中代参

   神仏の信仰の盛んな湯西川では、講中代参のお詣りが古くから行なわれていた。
  伊勢講をはじめ湯殿山講、男体講、古峰講、玉田講、田島講、三峰講等などがあり、世話人
  が講員を募集して、講を結成し毎年一回籤引きを行い、何人かが代表でお詣りを行ない、講
  員にお札等を配ってその神様を信仰していた。 勿論講員からは掛銭を徴収して、代参の経
  費に当てていた。


 湯殿山講中代参帳

   県史編纂の史料調査中に、一冊の湯殿山講中代参帳が出てきた。中を開いて見ると、

    一、此度湯殿山講村中為安全私共世話仕候間御信心御方名印相印して掛銭取究之義五月
      節句講中籤取之砌相定め可申候、

       世話人  伴久左衛門、   阿部隼之助、   安倍源右衛門、
            山口三右衛門、  大類伊兵衛、   山口庄左衛門、
            安倍 政之助、  安部 栄吉、   安部 房之烝、
            阿倍 角之烝、  安倍金右衛門、  以下略す、

   と、あり伴久左衛門、外が世話人となり、五月節句に籤引きを行い代参人や掛銭を取決め
  ていた事が分かる。 この中に安倍、安部、阿倍、の姓が見えるが、現在これら文字の姓は
  湯西川にはいない。安倍の姓は奥州の豪族安倍一族に縁のある姓で、川戸平に祀られてある
  釜神八幡宮の、落人伝説に因んだ姓と一致するが、落人を嫌っ今の阿部の文字に改めたとも
  言われており、代参帳に記載の姓は釜神八幡宮のある川戸平に見られている。

   この代参帳には、年代が記入されていないので何時の時代のものか分からないが、湯西川
  では古くから出羽三山の湯殿山、月山、羽黒山に登拝お詣りしていたらしく、モノモライが
  出来たときは、これらの三山に登拝した人の足で撫でて貰うとよくなるといわれ、信仰の程
  がうなずける。 又、湯西川から出羽の國まで出向いてのお詣りは、大変な事であったろう
  文化九年申六 月吉日の湯殿山代参の記録には、七月四日に出立して同十六日に帰宅したが
  殊の外川増しで難儀致し候、との記録があり、往復十二日かかった苦労の程がうなずける。

   何時の頃か当地の修験者が、羽黒山の土を当地に移し、湯殿山の御神体の湯滝になぞらい
  てお山を作り、温泉の守り神として神霊をこの地に勧請したと伝いられ、山で働く村人の安
  全と五穀豊穣を祈願して、毎年旧七月二十日(八月十八日)に部落を挙げて、神仏混淆の大
  祭典を湯西川で行なうようになり、湯殿山講も無くなった様である。

   勿論お祭りに奉仕する行人は、羽黒山の行者と同様の白衣の山法師姿で、法螺貝を鳴らし
  ながらのお神輿の行列は勇壮そのものである。








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